患者と説明している医者
心配している男性

性器クラミジア感染症は日本国内で最も報告者数が多い性感染症で、2018年度だけでも厚生労働省に2万4千件以上が報告されているほどです。この病気は感染力が非常に強く、性交渉を通して簡単に病原体が伝染するという性質があります。このため、10代後半から20代の若い世代で背的に活発な人を中心に感染者・患者が増えています。

クラミジアの病原菌は人や動物の粘膜の細胞に寄生し、人間であれば性器・泌尿器・直腸・咽頭部(のど)・眼球の粘膜に感染します。性器や喉(のど)の粘膜の細胞に病原菌に感染すると、1~3週間ほどの潜伏期を経た後に炎症などの症状が起こって発病します。感染部位によっては治療をしなくても炎症が治まる場合がありますが、病原菌が残留し続けるので自然に治癒することはありません。クラミジアの病原菌は増殖(細胞分裂)のペースがゆっくりしているので病状の進行が遅いですが、治療を受けずに放置し続けると症状が悪化して重大な合併症を起こしてしまいます。このため、クラミジアに感染した場合は病原菌に対して有効な抗菌薬を使用して治療をする必要があります。

性器クラミジアに感染すると、初期症状として尿道炎(男性)または子宮頸管炎(女性)を発症します。病院や診療所で初期症状の尿道炎や子宮頸管炎と診断されると、治療のためにアジスロマイシン錠が処方されます。健康保険が適用される病院や診療所で受診すると、アジスロマイシン錠として先発医薬品のジスロマックという錠剤タイプの飲み薬が処方されるケースがほとんどです。ジスロマック(アジスロマイシン)はマクロライド系抗生物質のひとつで、ペニシリン系・セフェム系抗生物質が効かないクラミジア菌に対しても抗菌効果を発揮します。

アジスロマイシンは、病原菌の細胞内でタンパク質の合成をおこなうリボソームの働きを邪魔するという性質をもちます。人の粘膜に感染したクラミジア菌は細胞分裂を繰り返して増殖しますが、タンパク質は新たな細胞を作るために必要不可欠です。病原菌のタンパク質の合成を阻止すると細胞分裂(増殖)ができなくなってしまい、人体の免疫細胞に攻撃されて死滅することで病気が治癒する仕組みです。アジスロマイシンは細胞のタンパク質合成を防ぐので、細胞壁の合成を阻止するペニシリン系やセフェム系抗菌薬が効かない病原菌に対しても高い抗菌を持ちます。

アジスロマイシンは病原菌が体内で増殖する抗菌効果を持つ薬ですが、抗菌効果が持続する時間が長いという特徴があります。最初に1回だけ薬を服用するだけで、7~10日間にわたり後期効果を発揮してくれます。クラミジア菌は増殖のペースが遅く、3日に1度の頻度で細胞分裂を起こすことが知られています。基本的に抗生物質は既に存在している病原菌を殺傷することはできず、細胞分裂を防ぐ働きをします。クラミジア菌が細胞分裂を起こす時に抗菌効果を発揮する必要がありますが、アジスロマイシンを服用すれば2~3回分の細胞分裂のピークをカバーすることができるので高い治療効果が期待できます。

性器クラミジア感染症の初期症状を発症した際に、適切な方法でアジスロマイシンを服用することで高い治療効果が期待できます。発症初期の段階でアジスロマイシン錠を服用すると、9割かそれ以上の確率で病気を完治させることができるほどです。アジスロマイシンは抗菌効果が長期間持続するので、最初に1回だけ薬を服用するだけで治療ができます。1回だけ薬を飲むだけで高い確率で病原菌を死滅させることができるので、薬を飲み忘れたり、患者が勝手に判断して治療を中断する心配がありません。このため、薬剤耐性菌が出現しにくいというメリットもあります。